自分の身体とピルの関係を勉強しようぜ。

まず最初に
この記事は経口避妊薬をすでに服用されて、体調抜群のスーパーウーマンを批判するものではありません。生理痛が全くなくなって、子宮内膜症も改善され、同時に避妊もできる。こんな素晴らしい薬はない、とハッピーなスーパーウーマンもいらっしゃるでしょう。それはそれで良いのです。素晴らしいです。これで生活の質がめっちゃ改善して、これでもう仕事も頑張れるし、怖いもんなし。というスーパーウーマンもいると思います。それはもう一緒に祝福したいです。
この投稿は、
1)生理不順でピルを服用し始めたスーパーウーマンたちに向けて書いています。
2)ピルを飲み始めたけれど、なんだか体調が優れないというスーパーウーマンたちに向けて書いています。
という前置きをした後、ピル服用の有無にかかわらず、日本のスーパーウーマン達に聞きたいことがあります。
問1)ピルは身体の中でどのように作用するか500字以内で説明せよ。
問2)ピル服用において正しい記述を選べ。
a) ピル中に含まれるホルモンは体内で合成されるホルモンと全く同じ
b)ピルを服用すればホルモンバランスが整う
c)ピルを服用しても排卵は起こっている
d)ピルを服用中の喫煙は可
e)ピル服用し始めて起こる吐き気、体重増加、頭痛は歯をくいしばってしばらく耐える
f)ピルは卵巣の機能をスイッチオフする
正解は

答え 1)自然排卵が起こっているときには、脳の視床下部と下垂体が卵巣に「そろそろ排卵の準備して、卵育てよっか」(=FSH(卵胞刺激ホルモン)の役目)「そろそろ排卵しよっか」(=LH(黄体形成ホルモン)の役目)というメッセージを送っています。このメッセージを卵巣が受け取ると卵子を成熟させて卵胞ホルモン(エストロゲン)を出し、卵子が成熟したら、排卵をおこしています。排卵が起こった後に卵を包んでいた周りの皮から黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。
ピルには、卵巣から分泌される黄体ホルモンと卵胞ホルモンに似た構造を持つ合成成分が入っています。ピルを服用すると、脳が「あ、排卵終わったんだね」と勘違いするので、卵巣にメッセージを送らなくなります。そうすると卵巣さんの機能がスイッチオフされるので、自然排卵が起こらなくなります。
イラスト付きで見るとわかりやすいと思うので、ぜひ
http://www.pill-page.com/pill_02.html をご覧になって下さいませ。
↑
(誰かこういうイラスト書いてくれる人いませんか。)
また、ピルの種類によっては、子宮内膜を薄くし、子宮頚管の粘液の性質を変化させて着床しないようにします。
答え2)f が正解
みなさん、この二つの問いが正解だったら、もうこの投稿読まなくてもいいので、他の投稿を読みに行って下さい(笑)
では、本題に入りましょう。
生理不順やPCOSでピル飲み始めたスーパーウーマンたちへ
まず、ピルを飲み始めて数か月してから服用を中止→自然排卵復活した!
でもまた無排卵月経になった→だからまた病院に行ってピル処方してもらった。→自然排卵が復活した→でもピル飲まないと排卵しない。。。→なんとPCOSとの診断を受けた
っていうケースをたまに聞いたり読んだりします。ピルで生理不順ってなっかなか治らないスーパーウーマンたくさんいると思います。なぜかというと、ピルは一時的に卵巣の機能をスイッチオフするだけなので、ベースにあるホルモンバランスの問題は、ピルを飲んでも一気に解決することがないからです。
例えば、これまでもいろいろ説明してきたように、血糖値のコントロールがうまく行っていなくて、体内の大量のインスリンに問題があるのに、卵巣の機能だけスイッチオフしてもインスリンのバランスが急に改善することはまれです。
また、微量元素などの栄養不足で生理不順になっているのに、卵巣の機能だけスイッチオフしても自然排卵がいつまでたっても起こらないのはあたり前なんです。。。
ピルを飲み始めてから体調悪いというスーパーウーマン達へ
ピルには色々な種類があります。入っている成分も分量もさまざまです。そして、個人の反応も本当にそれぞれです。なので、全員が同じピルを服用して同じ反応が起こることはないです。
しかーし、ピルを服用し始めてから体調が優れないというスーパーウーマンたちにお伝えしたいことがあります。その身体の声は間違っていません。なぜ一部のピルを服用すると体調がすぐれなくなるかというと。。。。いろいろ理由ありますけど、三大要因を二つ。
a)腸内細菌のバランスが崩れる可能性が高くなる
崩れるので、炎症性の腸の疾患の可能性が高くなるとの報告もいくつか。これで便秘や下痢を繰り返したり、エストロゲンを分解する腸内細菌が減ったりすることがあります。これでエストロゲンが体内に増えて、むくんだり、食欲が更新したりします。
b)体内での栄養素が減る/ピルを飲み始めてから疲れている
葉酸、マグネシウム、セレン、亜鉛、ビタミンB2、B6、B12、C、Eが減るとの報告が昔からあります → これは最近のやつです a) b) c)まとめたのもあります
この中でも一部の栄養素は抗酸化作用があって、身体の炎症を沈めるために体内で使われています。その結果体内で炎症が起こりやすくなります。
テストステロンを減少させるとの研究報告もあります。テストステロンが低水準だと性欲も減退します。
インスリンに対する敏感度を下げるのでインスリン抵抗性の可能性が増える→血糖値のコントロールがうまく行かない→めたくそ機嫌悪くなったり、疲れやすくなる 参考
c)一部のピルは基本的に体内でのプロゲステロンとエストロゲンの量を増やします。このため、人工的に「妊娠した」と脳が感知します。これで、ピルを服用するとつわりのような吐き気が強く出るスーパーウーマンもいらっしゃいます。(ピルにもいろいろありますから、低容量ピルで吐き気が止まったという方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、健康体で、ピルをやめてから1サイクルくらい後で生理が戻ってくるスーパーウーマンもいます。ピルやめたとたん排卵して妊娠に至るスーパーウーマンもいます。
でももともと生理不順でピルを飲み始めて、副作用がきつくて服用を中止してもなかなか自然排卵が戻ってこないスーパーウーマンには、背後に上記のような問題があったりします。(全員が同じ理由というわけではありません)だからピルやめた後に生理来ないんです。。。
というわけでした。